前田クリニックホームページより引用
http://www.dr-maedaclinic.jp/de131.html強迫性障害 薬物治療
強迫性障害においては、大脳基底核(尾状核・淡蒼球・被殻)から大脳辺縁系(帯状回)、前頭前野に至る神経経路の亢進及び活動性の亢進が原因とされ、前頭前野の神経終末での脳内神経伝達物質セロトニンの作用が弱くなっていることが明らかになっています。 そこで、脳内のセロトニンの量を増加させる薬を服用することがまず優先されます。 強迫性障害の治療薬としては、抗うつ薬としても用いられているクロミプラミン(アナフラニール)があります。 クロミプラミンは、三環系抗うつ薬で、1991年にアメリカで強迫性障害にも有効であることが確認されています。 クロミプラミンは、強迫性障害には即効性があり、副作用としては、口の渇き、便秘などがあります。 また、他の強迫性障害の治療薬としては、SSRIがあります。SSRIには、フルボキサミン(ルボックス・デプロメール)とパロキセチン(パキシル)があります。
SSRIは、脳内神経伝達物質のセロトニン系受容体のみに作用し、三環系抗うつ薬と比べて副作用が少ないことが特長です。 SSRIの主な副作用としては、吐き気や食欲不振など消化器系の症状が特徴です。 SSRIは効果を発揮するのに6~8週間程度かかります。うつ病で使用するときよりも多い量のSSRIを投与する必要があります。
その他、強迫性障害の治療薬として、抗不安薬が併用されることが多くあります。抗不安薬は、GABA受容体に作用し、文字通り不安を抑える作用を持つ薬で、即効性があります。 その他、タンドスピロン・クロナゼパムを用います。ドーパミン作動薬で強迫性障害類似の症状が出現することから、ドーパミン遮断薬である抗精神病薬(リスパダール・ジプレキサ・アリピプラゾール)を用いることもあります。
薬物療法に加え、暴露反応妨害法・EMDRなどを組み合わせて約2年間程度の治療を行います。 薬物治療の有効率は50%程度と低く、不安階層表行動療法・暴露反応妨害法・EMDRなどの心理療法が治療においては非常に重要です。